メッセージ

30数年前、私がまだ音楽大学でオペラを学ぶという立場にあった時、舞台への思いと支えてくれていた父の最期の研究地がイタリアだった。当時のわが国の染 織関係者から最も期待されていた研究者であった父の帰国を待ち構えていたのが、オイルショック不況。混乱した経済状況の中、父は、服飾や絨毯、着物などへ の染織薬品の研究の成果と共に、働いた仲間を護るために、〈ユニバーサルアートデザイン〉という法人を立ち上げた。しかし、父は、病に侵され自身の設立し た会社で働くことなく他界した。

まだ若く、世の中の事を知らなかった私は、労働することや、生活するということを、他人事のようにしか認識していなかった。

2013年、舞台上でかかわってきた様々な職種の人達や、さらにそのまわりで協力して下さる人達とともに共存できる世界を創造し、一体となって私が求める 世界観を実現するために会社を設立しようと思い立った時、迷うことなく、社名は〈ユニバーサルアート〉を冠することに決めていた。父の思いを継承し、私と 仲間を飛翔させるために、「ユニバーサルアートミュージック株式会社」は設立された。

私は総合芸術と言われるオペラの世界で生きている。人が集まり何かを表現する世界。個々の生活観が一つの舞台に集結し、別の生活観を持つ人たちと、創造さ れた世界を共有する空間。音楽に境界線は存在しない。慈しみ、愛し、食し、眠り、心と躰に触れ合い生きることが音楽と同義だと考える。

オペラにかかわる書籍編集、楽譜出版、、対訳書出版、字幕製作、CD製作、イベントプロデュース、コンサート企画、音楽教室運営、レストラン経営など、一 見脈絡がないように思われるが、すべて境界線がなくコラボレートされた発信源として、ユニバーサルアートミュージック株式会社の存在を盤石な組織としたい。